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2014-02-17

【メモ】Cycle (head) & Allomorphy in Distributed Morphology

14:05 | 【メモ】Cycle (head) & Allomorphy in Distributed Morphology - dlit@linguistics を含むブックマーク はてなブックマーク - 【メモ】Cycle (head) & Allomorphy in Distributed Morphology - dlit@linguistics 【メモ】Cycle (head) & Allomorphy in Distributed Morphology - dlit@linguistics のブックマークコメント

 cycle-sensitive allomorphyってのは最近のDM(の一部)でアツい話題だと思う。すごく雑にまとめると「ある種の形態の現れ(allomorphyとかsuppletionとか)が統語環境に左右されている(ような)現象をphaseとかのlocalityを使って分析してみよう」って感じかなあ。勉強中に考えたことを少しメモ。

誰がやってるか

 僕が個人的に好きなのはDavid Embickの研究で2000年代前半から色々面白い事をやっていると思う。エッセンス(とDMのイントロ)をざっと知りたいならEmbick and Marantz (2008)、何が問題なのかとかモデル全体についての詳細とかが知りたいならEmbick (2010)がおすすめ。あとそれとは別にJonathan David Bobaljikの研究も面白い展開を見せていると感じる。たぶんこっちはBobaljik (2000)辺りの研究からはっきりした形を取り始めていて、まとまったものが読みたいならBobaljik (2012)が良いかな。あとBobaljik and Wurmbrand (2013)でその分析の概観が読める。

残された問題

 さて、内容は一切説明せずにちょっと問題だなーと思ってるところだけ。

 Arad (2003)辺りで提唱されていた、(どの)phaseの内外に素性とかRootがあるかっていう観点だけではとてもallomorphy全体を取り扱うことができないってんでEmbick (2010)ではC1-LIN theory、Bobaljik (2012)ではDomain Suspensionを使った分析が提唱される。phaseとかの各cycleでVocabulary Insertion (VI)とかLinearizationがどういうタイミングでどのheadにどんな順番で適用されるか(適用されて良いか)を詳細にしていこうという方向性は一緒なんだと思う。おかげでEmbick (2010)の方ではEmbick and Noyer (2001)の段階ではよくわからなかったVIとLinearizationの関係がかなり明確にされている。

 で、やっぱりここで問題になってくるのは、cycleの実質的な単位としてphaseを使うわけだけど、どれがcycle (phase) headなのか、ってことに具体的に突っ込んでいく必要がまだまだあるだろうということ。category-defining headとかlittle v辺りはまあphase headで良いとして(これもたぶん実は一部問題)、細かい分析をする時にAspとかVoice辺りをどうするのか。もちろんEmbickもBobaljikもその辺りに言及はしていて、Bobaljik and Wurmbrand (2013)で提唱されているdynamicなphaseの取り扱いを採用するアプローチでは結構踏み込んでいるところもあると思うのだけれど、こちらもどのheadがphaseをclose offするのかってことを決めないとなーって気がする。

 まあ「これとこれをphase headってことにすると形態の分析はこういうふうにうまくいきますよ」ってサイドからの分析を出して、syntaxの方でそれとは独立した証拠を探すって方向性も面白いと思うので、今後その辺りの研究が増えると良いなあ。まあそんな簡単にリンクしてたら苦労しないんだよ!という声があちこちから聞こえてきそうではある。

 あと、featureとlabelling、他にcartographyも関係してくる話なのかもしれないけどこちらもまだまだ勉強中…

 個人的にはこの辺りから日本語の述語の膠着性(の一部の性質)を捉えられないかとか夢想してるんですけど、道は遠そうです。

参考エントリ

References

  • Arad, Maya (2003) Locality constraints on the interpretation of roots: The case of Hebrew denominal verbs. Natural Language and Linguistic Theory 21, 737–778.
  • Bobaljik, Jonathan (2000) “The Ins and Outs of Contextual Allomorphy,” in University of Maryland Working Papers in Linguistics 10, 35–71.
  • Bobaljik, Jonathan (2012) Universals in Comparative Morphology: Suppletion, superlatives, and the structure of words. MIT Press.
  • Bobaljik, Jonathan and Susi Wurmbrand (2013) “Suspension across domains,” In Ora Matushansky and Alec Marantz, eds. Distributed Morphology Today: Morphemes for Morris Halle. 185-197. The MIT Press.
  • Embick, David (2010) Localism versus Globalism in Morphology and Phonology. The MIT Press.
  • Embick, David, and Alec Marantz (2008) “Architecture and Blocking,” Linguistic Inquiry 39:1, 1–53.
  • Embick, David, and Rolf Noyer (2001) “Movement Operations after Syntax,” Linguistic Inquiry 32:4, 555–595.

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